新型コロナ、感染者数グラフの見方

新型コロナの感染が身近なことという実感が高まり、感染者数の発表を気にする方も多いと思います。

またあちこちのサイトで感染者数のグラフも目にするようになりました。

 

けれどもみなさんが最も関心のあると思われる、感染の広がる速度と傾向を見るのに、

この「縦軸:実数 横軸:時系列」のグラフは見づらいのです。

なぜなら感染者数はねずみ算で増えるから。立ち上がりが曲線かつ急すぎて見づらいんですね。

 

感染の広がる速度と傾向を見るのには、「縦軸:対数 横軸:時系列」のグラフが見やすいです。

対数グラフの目盛りの説明は

news.yahoo.co.jp


を見ていただいて、一部を引用します。


「直線が現れる場合、それが指数関数的に増加・減少していることを表します。今回の場合は、

・感染者数自体が、指数関数的に増加するため、実態に即している。

・過去の数値や未来におけるシナリオ別の変化量を直線で想起することができる。

・増加や減少などの推移が近似している国がどことどこだか、わかりやすい。」

 

ざっくりいいますと、対数グラフで累計感染者数を見たとき

 

・右肩上がりの直線:感染拡大中。

 傾きが大きいほど爆発的(制御できてない)。

 傾きが小さければ感染は拡大中だが一定の制御ができている。

 

・水平線:収束

 

ということになります。

 

人口100万人あたりの各国累計感染者数の対数グラフを札幌医大が公開しています。

https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/?rg=East%20Asia

画像は2020年4月5日のもののスクリーンショット
日本と、中国・韓国、日本とグラフ傾向が似ているシンガポール、西欧代表でイタリア・ドイツ、そしてアメリカを表示しました。

 

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各国累計感染者数

中国は2月中にほぼ収束、韓国も3月初頭にはよい状態ですね。

韓国の初期と、いま「爆発中」の西欧・アメリカの当初2週間は似た傾きです。制御が効かないとこの傾きになると考えるといいと思います。直近の日付で傾きが緩やかになってきたのは、ロックダウン等の効果でしょう。

日本と シンガポールは健闘中だけど収束は見えてないので、油断すると傾きが急になる可能性があります。

 

ちなみに累計死者数のスクリーンショットはこちら。こちらについては、各国の医療状況を知らないのでノーコメント。

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各国累計死者数

 

英語になりますが、下のサイトは各国のロックダウン日がグラフに示されていて、外出制限が功を奏するのにかかる日数も見やすいです。

https://www.ft.com/coronavirus-latest

外出制限の結果が統計に表れるのには日数がけっこうかかります。国による差もありますが、外出制限を続けて対数グラフの傾きがゆるくなるまで、だいたい2~3週間というところでしょうか。傾きを水平にするにはもう少し時間がかかりそうです。
なお、ロックダウン中でも、日用品の買い物は距離を保ったうえでOK、飲食店営業は休業ではなくテイクアウト営業のみ、短時間の散歩も距離を保ったうえでOK、という国が多いようです。不要不急ならぬ「必要」とはなにか、というのは先達の例が出そろってきました。

なお、このサイトには累計ではなく、7日間平均の1日あたり感染者数の対数グラフもあります。

この場合、

・右肩あがり:感染拡大中

・水平:均衡

・右肩さがり:収束に向かっている

となります。

 

この英語サイトのグラフから読み取れることは、コロナの潜伏期間とされるものによく一致していて。

営業外出自粛期間が

・2週間以下
→拡大抑制
 あくまで抑制なので感染者実数は増える。
 抑制効果がグラフに見えるのは二週間目以後なので、例えば一週間自粛のあと営業再開検討しても、感染者数はまだ指数関数的に増加中。
 意味がないわけではなく、退院者も出るので、抑制によって集中治療が必要者に行き渡る体制を取る、という戦略としてあり。

・2週間
→鎮圧効果が出る。二週間たったらグラフにも見えてくる。

・4ー8週間以上
→期間経過後には収束方向がグラフに見える。次波に注意。

という感じです。

いわゆるロックダウンしてる国も全く人が外に出なかったり経済活動が完全にストップしてるわけではありません。
飲食店であればテイクアウトやデリバリー営業に絞られるケース、散歩・買い物は人間同士の距離を空けて短時間で、というケースが多いです。
諸国の例はこちらのリンクで。犬の散歩OKで、過労な犬とかいてたりします。

https://togetter.com/li/1485425